『トワイライト・ウォーリヤーズ 決戦! 九龍城砦』俺たちが求めていた香港映画はこれだ!

作品鑑賞

現在公開中の『トワイライト・ウォーリヤーズ 決戦! 九龍城砦』を見たので感想を述べていく。

見ようと思ったきっかけ

現在仲良くしていただいているコミュニティの方が多く口をそろえて「これはマジで面白い!見たほうが良い!」と言っていたので、興味が湧いた。「みんなこういう男たち好きでしょ!?」とも。このコミュニティはいわゆる女性向けオタク界隈なのでそういう目線でも楽しめるのかなと期待していた自分もいた。

あらすじ

トワイライト・ウォリアーズ 決戦! 九龍城砦 -wkipedia

1980年代。香港へ密入国した陳洛軍(チャン・ロッグワン)は身分証を買う金を稼ぐため、黒社会の大ボスが開催した賭け試合に出場する。格闘の腕を見込まれ大ボスから自分の元に来いと誘いを受けるが、黒社会との繋がりを忌避し拒否。後日、身分証を受け取りに大ボスのもとに行くが、一目で偽造と分かる物であった。使える身分証は手に入らず、代金も返してもらえず、陳洛軍はアジトで大金を管理してる所から袋の一つを奪い、大ボスの手下たちに追われることになる。大ボスの支配が届かない九龍城砦に運よく逃げ込んだが、そこで九龍城砦を支配下に置く龍捲風(ロン・ギュンフォン)やその右腕である信一(ソンヤッ)を始めとした九龍城砦に暮らす人々と出会うことになる。

好きだと思ったポイント

ガッチガチのホモソーシャル

九龍城の社会は、治安を取り持つ龍兄貴と、九龍城の地主のひとりである秋兄貴(とその他)を中心に構成されており、この男たちには各々舎弟がいるといういわゆるホモソーシャルの構造となっている。兄貴(親分)と弟の関係。女性版ホモソーシャルで例えれば、お姉さまと妹の関係性といったところだろうか。私はホモソーシャル下にいる人々の抱く独特の関係性や心情が大好きなので、例に漏れることなく本作も楽しませていただいた。

特に、九龍組で構築されている各々の関係性は健全なものだと感じた。兄貴も弟もお互いを家族のように大切に想いあう温かい関係性。確固たる信頼関係でお互い結ばれ合っている。
敵対する黒社会の大ボスと舎弟の王九は、中盤、王九が大ボスを裏切って王座に登り詰めた点が九龍組と対照的だった。
この違いは彼らが身を置く環境の違いによるものだと考えられる。九龍での生活は貧困の最たるものであり、お互い助け合って生きることが当たり前の環境である。それは偽りなき親切心、見返りのない愛があってこそ成り立つ。
一方、黒社会はいかに金を得るかをモットーに置いた騙し合い馬鹿し合いの、疑心に満ちた環境と言える。この環境の違いから、同じ兄貴と弟の関係でも、彼らがどのような関係性で結ばれているのかが変わってくる。

関係性の複雑さ※重要ネタバレアリ

九龍組の人間には歴史があり、そこで起きた事件は各々の関係性を複雑にさせている。
まず、どうして龍兄貴が九龍のリーダーになったのか。それは、過去に起きた黒社会抗争において、殺人王と言われた男、陳占を倒したからである。陳占は秋兄貴の家族を人質に取り殺害している。ゆえに秋兄貴は陳占を恨んでいる。そして陳占を破った龍兄貴は秋兄貴の敵討ちとなり、二人は義兄弟となった。
そして、身元不明の密入国者である主人公、陳洛軍は陳占の息子である。この事実を陳洛軍は知らずに生き、九龍にやってきたのだ。本来九龍のリーダー二人からしたら敵を討つべき相手であり、特に秋兄貴は陳占の息子は必ず殺すと意気込んでいた。
しかし、龍兄貴からしたら、自分は陳洛軍の父親を殺した罪を背負っている。陳洛軍を辛い人生に追い込んだのは自分なのだという追い目がある。そして、九龍にやってきてから大切に育ててきた情もある。とてもではないが殺せる相手ではなかった。陳洛軍の正体が明かされ、秋兄貴から命を狙われた際、龍兄貴は陳洛軍を九龍から逃がそうとした。秋兄貴に、「上の世代のことを下の世代に押し付けてはいけない」と。

私はこの三つ巴の関係性が明かされたときに強く、この映画を面白いと思った。もちろん、アクションや美術の作り込みのすごさなど、他にも面白いと思える描写は多くあったが、私は特にこの三人の関係の複雑さに強く惹かれた。どうしてそう思えたか。私の知識が浅いだけかもしれないが、この関係性にオリジナリティを感じたからだ。敵-味方のシンプルな構造では説明しきれない複雑な関係性が丁寧に作られている。私はこのようなオリジナリティある関係性があるキャラクターを強く好む傾向がある(と今気づいた)。

好きではないけど良い・面白いと思ったポイント

舞台の作り込みとアクションが本当にすごい

この映画の最大の見どころは何といっても演出の派手さだと思う。九龍の作り込みとバトルシーンのアクション。いつでも目が嬉しい状態で、見ていて楽しい。アクションの組手もすごくて目が回る。

あとは王九の気功術がファンタジーすぎるのが良かった。アクションにああいうファンタジーが入ると絶望感が増して良い。

エンタメ嫌いな私が好きになったエンタメ映画

私は基本エンタメ作品が好きではない。基本的にセオリーが決まっているし、こちらの気持ちを変えてこようとする強制感が好きではない。しかし『トワイライト・ウォーリヤーズ』にはまんまと気持ちよくさせられてしまった!久々に良いエンタメ映画を見たと思えた。見ていない方には是非見ていただきたい。